2024年4月に改正された「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」の適用が5月18日から始まり、以前より私からも金融機関の融資やリスケに対する方針が「厳しめ」になる可能性がある今までお伝えしていたように、状況は実際そのとおりになりつつあります。
リスケを認めてもらえなければ、事業者は廃業を選ばざるを得ません。そのような状況を避けるために、リスケを依頼せざるを得ない状況になったときは、確実にリスケを認められるように動かなければなりません。今回は、リスケ開始から脱却=正常化までのプロセスについて解説します。
1.リスケ企業を正常化にするための期間
金融機関はリスケ審査を行う際、「5年程度で通常返済に戻す」というシナリオを求めてきがちです。が、現実には、そんな簡単に正常返済に戻すことはとても困難です。現実的な返済スケジュールは、以下の4つの期間に分かれます。少なくとも10年はかかると心得ておきましょう。
「①抜本的経営改善期」「②少額返済期」「③正常化に向けての返済額増加期」「④正常化手続き期」
2.①抜本的経営改善期
リスケ開始1~3年目ぐらいは「抜本的経営改善期」です。
抜本的に経営を立て直す期間で、目標はできるだけ早期の月間収支黒字化。対策としては、①不要資産の売却、②経費の徹底的削減等となります。
この時点では資金繰りが厳しいため、売上を爆発的に増やすような施策を立てるのは非現実的です。
売上は減少するか、よくても微増でしょう。
この時期は収支トントン(収支が同じ)に持っていくのがせいぜいの状態。金融機関との交渉で「返済ゼロ」を実現し、地力を養いたいものです。
3.②少額返済期
3~5年目は「少額返済期」です。それまで3年かけて経営改善を図っているのですから、業績は多少上向いているはずです(希望を込めて)。
ここで月間収支が黒字化していないと、金融機関もリスケの継続を認めるわけにはいかないでしょう。
うまく経営改善が進み、キャッシュフローも少ないながらも黒字化していれば、少額での返済を開始してよいと判断できます。
ここでの注意点は、黒字分を全額返済に回さないこと。
キャッシュフローが黒字化していても、返済額は5~10万円ぐらいの少額に抑えましょう。
そこで残った資金をプールし、6年目以降の形勢逆転に備えるのです。
なぜならリスケしている間、金融機関は追加融資をしてくれないからです。また、投資をしなければ、業績を急に上げることもできません。
その投資用資金をプールする時期が、この少額返済期です。ここで金融機関からの突き上げに負けて返済額を大幅に増やしてしまうと、いざという時に攻勢をかけることができません。金融機関との交渉は、よりタフに行っていきましょう。
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