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2024年7月11日に金融庁から、「我が国における事業者の持続的な成長を促す融資実務とその影響に関する調査研究」報告書が公表されました。
この資料は、事業者が取引する金融機関の数や、不動産担保の設定の有無に応じた融資の実態に加え、そのような融資慣行が事業者の業績に与える影響について、定量的・定性的な調査を行ったものです。
この資料を読むことで、中小企業にとって最適な取引金融機関数が見えてきます。
1.取引金融機関数は少ない方がよいのか?多い方がよいのか?
この調査では、「1・2行取引と多行取引を比較し、倒産割合との関係性についての分析」と「多行取引を行っていない事業者と多行取引を行っている事業者とでは、業績悪化局面において業績にどのような違いが出るのかの検証」を行っています。
この調査内容において、参考になる部分をピックアップして紹介します。
●取引行数が1・2行の事業者は、6行以上と取引を行う事業者と比較して、倒産割合は半分以下で
あることが確認できる。
●「1・2行取引」の方が「3行以上取引」に比べ、融資総額の推移に関わらず業績が改善されている
ことが示された。事業者が1・2行取引を行う方が、多行取引を行う場合より、業績悪化時において
業績が改善する可能性がある。
●取引行数が少ない、ないしは関係が複雑化していない方が業況悪化時における金融機関による支援
時の制約が少なく、遅延することなく早期に適切な支援が実施できている可能性があると推察される。
2.中小企業にとって最適な取引金融機関数は?
この調査内容によると、中小企業にとって最適な取引金融機関数は「1 行、2行取引」となります。
「1行取引」の場合、取引金融機関に依存しなくてはならなくなるため、どうしても金融機関の立場が強くなってしまいます。そうなると、金融機関側の言う条件を飲まねばならなくなり、不利な条件での取引になりかねません。
「2行取引」だと、融資の依頼をする場合、両方の金融機関に打診することで、より有利な条件の金融機関を選ぶことができます。
また、「1行取引」では、取引金融機関に融資を断られると資金調達の手段が絶たれてしまいます。
金融機関が融資を断るのは、企業側の理由(業績悪化・財務内容悪化等)ばかりでなく、金融機関側の理由(担当者の能力不足・金融機関の熱意不足・金融機関独自の事情等)もあるため、一つの金融機関に断られたといって、必ずしも他の金融機関からも断られるとは限りません。
複数の金融機関と取引をしていると、一つの金融機関に断られても、別の金融機関が融資をしてくれて難を逃れたという事例はたくさんあります。
複数の金融機関と取引をするというのは鉄則ですが、今回の調査結果を踏まえると、取引金融機関数が多ければよいのではないということがわかるため、中小企業にとって最適な取引金融機関数は「2行」だということになるのではないでしょうか。
最後までお読みいただき有難うございました。
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